文書を上書き保存した際、保存する前の文書を自動的に別ファイルとして管理。文書毎の版情報を管理することで、必要な版の文書の検索や抽出が可能となり、文書を誤って更新した際の回復に利用することができます。
フォルダに文書を入れて、カードのように立てて整然と収納する方式です。色分けされた紙挟みにタイトルを記載し、さらにグループ毎に板で仕切って分類・整理します。バーチカルとは英語で「垂直の」という意味。米国のレコードマネジメント管理手法で、合理的かつ体系的です。
見出しと区切りの役目を持った板をガイドといい、文書やフォルダの増加や分類細分化に柔軟に対応できます。
廃棄には部門の担当者だけではなく、管理者などの責任を負える人の同意が必要となります。管理者は、保存期間満了を迎えるファイルの内容を確認し、廃棄が適正と判断した場合に廃棄処理を行います。国の公文書管理法では、行政文書ファイル等の廃棄には内閣総理大臣の同意が必要とされています。廃棄を含め処分のプロセスについては、その理由や実施日などを「移管・廃棄簿」に記録し、トレーサビリティを確保しておく必要があり、原本だけでなく、全てのバージョンのコピーを含めて廃棄する必要があります。
ハードディスクが物理的に損傷し、データがなくなってしまう障害のこと。DBとログファイルは、突然のハードウェア障害に備えて、必ず定期的にバックアップを行います。
バックアップとはハードディスクなどに記録された情報を別の媒体へコピーすること。バックアップしておくことで、ハードウェア障害が発生した場合でも、バックアップしたログファイルの時点までDBを復旧させることができます。
バイナリ(binary)とは「2進数」のことで、データを0または1で表現します。コンピューターで実際に使用するそのままの形(2進化された形)でプログラムやデータを保存したファイルのこと。アプリケーションやOSなどのプログラムファイルや、アプリケーションが作成する文書や統計データ、画像、動画、音声などのデータファイル全てがバイナリファイルとなります。
オープン書庫などに厚型ファイルのバインダーや薄型のレターファイルなどの、本体に綴じつけ型のファイル用品を使って文書を整理する方法です。背ラベルが大きいのでタイトルが読みやすく、検索性に優れています。一部官公庁などでは簿冊方式と呼ぶところもあります。
電子文書をはじめとする電子情報を長期保存する場合、人為的ミス、システム上の故障や事故などの様々な理由で、保存されているデータや情報が消失する可能性が高まるため、データ保護のために、別のメディアにデータの複製を保存しておく技術のこと。
ハッシュ(hash)という言葉は、「切り刻む、細かくする」という意味があります。元のデータをアルゴリズム(約束事)に従って細かく切り刻んで、一定の長さに変換することです。この変換手法を「ハッシュ関数」、変換後のデータを「ハッシュ値」といいます。
一度圧縮するとそのデータを元に戻すことができない方式のことです。情報を一部欠落させて劇的に圧縮率を高め(1/10~1/100程度)、ファイルサイズを小さくする。データの一部を欠損させているので元に戻すことはできません。人の目で判断できない領域を欠落させても意味の変わることのない写真などに利用されます。圧縮率を選択でき、圧縮率を上げればデータの劣化が激しくなり、下げれば音質や画質は向上しますが、その分のファイルサイズは増大します。圧縮率によって画像品質などの劣化レベルが異なるので、用途に応じて品質と圧縮率のどちらをより重視するかを検討した上で圧縮を行います。画像ファイル形式のJPEG、音声ファイル形式のMP3、動画ファイル形式のMPEGなどが非可逆圧縮となります。
3つのアーカイブス(国の機関のアーカイブズ、自治体のアーカイブズ、民間企業のアーカイブズ)のうちの一つ。国・自治体のアーカイブズのような法的規制は全くありません。アーカイブズを設置するかどうかは全くその企業の自由。組織のアイデンティティを確立し、企業文化の源泉となるものです。過去の業績や知識資源、知的資源を保存するとともに、それらを生み出す基盤や伝統、企業文化を伝え、共有化することが、ビジネス・アーカイブの大きな役割といえます。
業務のコンテクスト、業務活動及びリスクの分析を含む新しい概念に拡大し、「評価」によって、どのような記録を作成、捕捉するのか、またどのようにして適切な記録管理を行うのかという決定が可能になります。単に保存期間が満了した際に、移管か廃棄かを決定する「処分」というプロセスに限定するのではなく、記録の作成から始まる記録管理のライフサイクル全体のプロセスにまで「評価」の対象を拡げたことを意味しており、新しい標準の中でも特に注目される部分となっています。
組織及び業務の性質あるいは業務のコンテクストに対する理解が重要であり、その関連で業務に影響を与えるリスクの評価、記録管理によって管理可能なリスクの評価が大切になります。組織の業務及びそのコンテクストの分析、評価から、その組織における記録の要求事項が明確になるというわけです。
ISOが定めた、組織における「品質マネジメントシステム」に関する一連の国際規格群のことです。企業などが顧客の求める製品やサービスを安定的に供給する“仕組み(マネジメントシステム)”を確立し、その有効性を継続的に維持・改善するために要求される事項などを規定したもの。当初は製造業を中心に普及しましたが、今や建築、運輸、医療、小売業、地方自治体、その他サービス業を含むあらゆる業種に広がりを見せています。
品質マネジメントシステムは、QMS(quality management system)ともいわれ、「品質に関して組織を指揮し、管理するために行われる活動を構成する要素の集まりであり、品質を達成するための仕組み、業務のやり方を規定する要素である」と定義されています(JIS Q 9000:2015)。ISO9000ファミリーは、当初ISO9000シリーズとして1987年に第1版が制定された後、何回かの改訂を経て、その後ISO9000ファミリー規格となりました。現在、ISO9000ファミリーは100ヵ国以上で国家規格として採用されています。中でもISO9001は品質マネジメントシステム認証制度の基準文書として用いられており社会的に大きな影響力を持っています。ISO9000ファミリー規格のコア規格となるのが、ISO9000、ISO9001、ISO9004の三つとなり、それ以外にISO19011とISO17021-3があります。
作成済みの文書を必要に応じて素早く取り出せるように整理することが主目的です。
最初の「作成」と最後の「移管」のプロセスが抜け落ちていることが多く、「作成」プロセスは、国や自治体における情報公開法制の進展により、文書作成の重要性がクローズアップされたことにより、修正されるケースも出てきたが、保存期間満了時にアーカイブズへ「移管」するというプロセスは依然として考慮されることなく、「廃棄」一本となっています。これはファイリングシステムが紙文書中心の仕組みであったために、紙を減らす「廃棄」が最優先されたことと、そもそも歴史的に重要な文書を永久保存するアーカイブズという概念が欠落していた結果ということがいえます。
ファイルのライフサイクルを管理する台帳。ファイル基準表ともいわれています。ファイルを作成した時点で管理簿に登載し、ライフサイクル管理上のプロセスを保存期間が満了する処分に至るまで、その管理簿で管理します。
電子文書において、紙文書におけるキャビネット・書庫や倉庫と同じ役割を担うのがファイルサーバです。
文書分類基準などのルールに則って、適切に文書を管理する際に、大分類・中分類・小分類などの階層構造を使用しますが、ファイルサーバでは、フォルダ階層を構築することで文書分類基準の階層構造を実現することができます。
プログラムは「命令」の集合体。コンピューターが行うべき処理を順序立てて記述したものです。このファイルを実行すると、「命令」が連動して様々な処理が開始されます。このため、実行ファイルとも呼ばれています。(プログラムは命令の集合体、ソフトウェアはプログラムの集合体といえる)
文書管理とは、文書の作成(取得)から、活用、再利用のための保存を経て、アーカイブズへの移管か廃棄かを選択する処分のプロセスまでのライフサイクル管理を効率的かつ効果的に行うことをいいます。①保存期間管理、②所在管理、③機密管理・セキュリティという3つの管理手法で構成されています。
継続的に運用するためには、①ルール、②ツール、③体制という3つの要素が必要となります。
文書管理システムとは、文書を登録・管理し、文書管理の運用を支援するシステムのことです。文書名の登録管理のみを行う簡易的なものから、文書の内容をすべてPDF/A準拠ファイル(文書の長期保存を目的とした、国際標準規格ISO19005)で保存したり、RFID(電波を使用して情報を非接触で読み書きする技術)やICタグ(集積回路を内蔵した小さな札)で文書ファイルを管理したりすることまでを行える高額なものまで、様々なシステムがあります。
文書分類基準とは、文書の利活用を促進するために、文書の検索性を向上させるための仕組みです。紙文書だけでなく、電子文書にも使えます。具体的には、組織が保有する文書を、文書の内容や形式、または文書の種類などの共通する項目で集め、系統的に仕分けしたものをいいます。一般的には、大・中・小の3階層のツリー構造で体系化します。
画像の情報(線の位置、長さ、太さ、角度、色など)をもとに、計算によって画像を数値化して表現する方式です。画像を拡大、縮小、変形してもその都度計算が行われて値が算出され、画質が殆ど劣化することはありません。輪郭や色がはっきりとしたイラストや図面を作成する場合に適しています。写真や自然画のような複雑で緻密な画像から線や面を抽出して数値化しなければならないものは向いていません。
作成や編集にはドロー系ソフトとして分類されるAdobe IllustratorやCADソフトなどを使用します。ラスター形式に比べて算出する起点の色や位置情報があればよいのでファイルサイズが小さいのが特徴です。代表的なファイル形式には、WMFやSVGなどがあります。
例外的に「保存期間を延長しなければならない」場合。国内では「義務的延長」と呼んでいるもので、次のようなケースが該当します。すなわち訴訟や公的な検査や監査などが差し迫っているか、進行中の場合のこと。このような場合に関連文書を廃棄すると、訴訟では訴訟妨害と取られ裁判が不利になり、公的な検査では検査忌避と見なされ法令違反となる。従ってこのような場合には、業務的延長の対象となりたとえ保存期間が満了しても関連する文書を廃棄せずに延長しなくてはならない。
公文書管理法では次の4つの類型を義務的延長の対象として規定している。
必要な重要文書を確実に保存し、不要な文書の滞留を防ぐとともに、限られた保存スペースを有効活用するためには、文書ごとの保存期間を設定し、管理する必要があります。これが保存期間管理です(海外のレコードマネジメントでは、このことを「リテンションスケジュール」と称しています)。保存期間満了後には、アーカイブズへ移管するか、または廃棄もしくは延長を選択する処分(評価選別)というプロセスを迎えることになります。
行政文書(法人文書含む)の保存期間ルールは、1年未満、1年、3年、5年、10年、30年の6通りです。企業の場合、税務関係文書の法定保存期間が7年であることから、7年という保存期間を設けるところもあります。国をはじめ多くの自治体や企業などにおいても「永年保存」という保存期間を設けることがありましたが、国の場合、2001年の情報公開法施行に伴い、最長30年という保存期間の原則が導入され、「永年保存」は例外的にのみ認められていましたが、2011年の公文書管理法施行以後、「永年保存」は完全に認められなくなりました。
フォルダが紙箱の中に立てて入っており、紙箱の背見出しにタイトルが書かれています。この箱をボックスファイルと呼び、このような収納方式をボックスファイリングといいます。
バーチカルファイリングの1件1冊の分類性と、バインダー方式の一覧性という両方の長所をうまく取り込んだ方式。ボックスファイル毎に棚や引出に配列できるので、什器を選ぶことなく汎用性があります。
「タグ」と呼ばれる特別な文字列で文章の一部を囲うことにより、文章の構造(見出しやハイパーリンクなど)や装飾情報(文字の大きさや色など)を記述するための言語です。タグで囲まれた文章は読み解くことができても、タグは単なる文字の羅列になってしまいますが、ブラウザで読み込むと、ブラウザがタグの意味を解釈し、レイアウトや装飾を整えて文章を表示してくれます。タグは文字ではなく機能として扱われ、この2面性がマークアップ言語の大きな特徴です。マークアップ言語で作成した文書は、IT環境に依存することがなく汎用性が高いです。
代表的なマークアップ言語には、SGML(Standard Generalized Markup Language)、SGMLから発展したHTML(Hyper Text Markup Language)、XML(eXtensible Markup Language)などがあります。
「付番」、「情報連携」、「本人確認」の3つの仕組みが適切に運用されることによって機能します。個人情報を有効活用するために導入され、日本に住民票を有するすべての方(外国人の方も含まれます。)が12桁の番号(マイナンバー)を持っています。
社会保障、税、災害対策の3つの分野をはじめ、金融分野や医療分野など、様々な分野で活用され、行政機関に対する申請手続に関しても、マイナンバーを提示することで、必要な添付書類が減り、行政手続きの効率化が進められています。
行政側にメリットがあるだけでなく、私たち国民一人一人にとってもメリットがある制度です。上記の3つの仕組みのうち、「情報連携」は業務の効率化が図れるものとして行政にとってメリットがある仕組みですし、「本人確認」は私たち国民一人一人にとってメリットがある仕組みとなっています。
移行、移転、乗換などの意味を持つ英単語で、ソフトウェアやシステム、データなどを別の環境に移転したり、新しい環境に切り替えたりする意味で使われます。20年程度といわれている電子媒体が劣化する前に、定期的に電子文書の情報を新しい媒体に入れ替えることにより、電子文書の見読性を維持するプロセスが必要となります。ISO15489では、マイグレーション(Migration)を「記録の真正性、信頼性、完全性、利用性を維持しながら、記録を一つのシステムから新しいシステムへ移行する作業」と定義しています。
アーカイブズ史料の総体であるフォンドの記述と、その構成部分であるシリーズ、ファイル、アイテムというレベルの記述を階層的に関連付けることによって全体を表現する「マルチレベル記述」作成ための基本的規則。
情報そのものではなく、情報についての情報を記述または説明し、その場所を見つけ、検索、使用、管理を容易にするためのツールです。“データのデータ”、“データに関するデータ”といわれています。
文書の場合は“属性情報”といわれ、文書のタイトル、作成者、作成年月日、文書番号、分類基準、保存期間、媒体の種類などに相当します。ライフサイクルを通じて電子文書の管理を適切に行うための有効な情報であり、文書の検索をより効率的にします。紙文書の場合も必要ですが、電子文書の場合は、紙文書のように目視できないので、より重要性が高くなります。
記録管理の国際標準ISO15489によるメタデータの定義は「記録のコンテンツ、コンテクスト、構造及びライフサイクルを通じての管理を記述するデータのこと」となっています。情報検索のために開発されたダブリンコアでは、15の基本要素が設定されています。アーカイブズ分野のメタデータとしては、ISAD(G)、EADなどが知られています。