電子契約のメリットは?コンプライアンス強化に導く3大メリットを徹底解説
デジタル化が加速化する昨今、電子契約の導入企業は着実に増えていますが、「証拠能力は大丈夫なの?」といった疑問を持たれる方が多いのではないでしょうか?
本記事では、そんな不安を解消してメリットの高い電子契約を検討できるよう、電子契約の3大メリットを徹底解説します。
そもそも電子契約とは
電子契約のメリットを解説する前に、そもそも電子契約とは何かを見ていきましょう。ここでは、電子契約について次のとおり説明します。
- 電子契約とは
- 電子契約のしくみ
順を追って解説します。
電子契約とは
電子契約とは、従来、「書面に署名・捺印」によって取り交わしていた契約行為に代えて、「電子文書に電子署名」によってインターネット上で取り交わす契約行為を指します。
日本の企業は従来、ハンコ社会の商慣習から、伝票や稟議書、各種申請書などハンコの押印が欠かせないものとなっていました。しかし、政府の「脱ハンコ」の後押しを背景に、電子契約の利用企業が増えてきています。とくに、デジタル改革関連法で、従来、認められていなかった電子契約が可能となり、今後、着実な利用拡大が見込まれています。
なお、デジタル改革関連法は、デジタル社会の実現を目指す6つの法律で構成されています、このうち、「デジタル社会形成整備法」では、押印に関す「押印・書面の交付等を求める手続きの見直し」として、これまで義務化されていた契約書類の電子契約が認められているのです。このような背景から、電子契約の利用はますます加速化すると考えられています。
デジタル改革関連法について詳しく知りたい方は、次のデジタル庁のサイトをご確認ください。
(※参考)デジタル庁:「法令」
電子契約の仕組み
電子契約は、紙媒体で署名・捺印する代わりに、法令に定められた電子署名の方法によって、契約を取り交わします。
この電子署名は、サインや印鑑にあたるもので、電子署名時の契約当事者と契約日時を証明し、電子署名後は改ざんできない仕組みとなっています。電子署名に用いられる「電子証明書」は、国が許可した認証事業者が電子認証局が発行するもので、強固な仕組みと技術で運営されているのです。
また、電子契約では「公開鍵暗号方式」という技術が用いられています。これは、送信者が誰でも取得できる「公開鍵」を使って暗号化して送信し、受信者は、受信者しか持っていない「秘密鍵」を使って複合化します。この仕組みにより、安全なデータ送信を実現しています。
電子契約メリット1 | 印紙税・事務コスト削減
ここまで、電子契約が安全な仕組みであることを説明してきましたが、ここでは、電子契約の一つ目のメリットとして、次の内容を見ていきます。
- 印紙税の削減
- 事務コスト削減
順を追って説明します。
印紙税の削減
書面契約の場合、課税文書にあたるため印紙税が発生します。しかし、電子契約の場合は、税務上、次の理由から印紙税は不要とされています。
【内閣参質一六二第九号】
印紙税においては、電磁的記録により作成されたものについては課税されない
(※引用)参議院:「内閣参質一六二第九号」
【国税庁(文書回答事例(別紙)】
注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しない
(※参考)引用:「文書回答事例(別紙)」
このため、電子契約は、原則、印紙税は不要です。ただし、法整備が追いついていないという見解もあるため、今後、課税対象となる可能性があることも念頭においてください。
事務コスト削減
書面の契約手続きは、契約書の製本などの準備や責任者押印の手配など、煩雑な事務的手続きがついてまわります。書面のやりとりのため、郵送に時間がかかるほか、押印手続きも高い役職者であるほど、手配が煩雑になります。
電子契約であれば、このようなアナログな手続きは必要なく、郵送料や印刷代、封筒代などのコストのほか、それらの人的コストの削減が可能です。
電子契約メリット2 | 業務効率化
次に、電子契約の2つ目のメリットである業務効率化について、次のとおり解説します。
- 契約リードタイムの短縮化
- 保管・更新管理の効率化
- 類似契約作成の効率化
順を追って説明します。
契約リードタイムの短縮化
書面契約の手続きは、「印刷→製本→押印→印紙貼り付け→押印箇所の明示→依頼文書作成→宛名記入→封入→郵送」といった一連の作業があります。
契約当事者は、互いにこのフローで書面契約のやりとりをするため、契約締結まで相当の時間を要するものです。また、押印者の役職が高いほど決裁手続きが煩雑になるほか、押印者が出張等で押印が滞ることもあります。
電子契約であれば、製本などの書面準備が不要なほか、押印依頼もウェブ上で可能になり、押印者が不在でも、ウェブ上で決裁により押印をスピーディーに回すことが可能です。このように、契約書の作成・郵送事務や社内承認フローを効率化し、契約リードタイムを短縮化できます。
保管・更新管理の効率化
書面契約の手続きは、「印刷→製本→押印→印紙貼り付け→押印箇所の明示→依頼文書作成→宛名記入→封入→郵送」といった一連の作業があります。
契約当事者は、互いにこのフローで書面契約のやりとりをするため、契約締結まで相当の時間を要するものです。また、押印者の役職が高いほど決裁手続きが煩雑になるほか、押印者が出張等で押印が滞ることもあります。
電子契約であれば、製本などの書面準備が不要なほか、押印依頼もウェブ上で可能になり、押印者が不在でも、ウェブ上で決裁により押印をスピーディーに回すことが可能です。このように、契約書の作成・郵送事務や社内承認フローを効率化し、契約リードタイムを短縮化できます。
類似契約作成の効率化
新たな契約を締結する際、類似した契約書を参照作成することもよくあります。書面契約の場合は、類似した契約書を探す手間は膨大になります。ワードで作成された契約書であっても、多くの契約書を対象に本文検索をかけることは困難でしょう。
電子契約であれば、検索も迅速に行え、容易に契約書を探すことができ、類似契約書の作成を効率化することができます。
電子契約メリット3 | 内部統制強化
次に、上場企業などにメリットが高い、内部統制強化に関する電子契約のメリットを次のとおり解説します。
- セキュリティ強化 | 紛失・情報漏洩リスクの低減
- 社内承認フローの可視化 | 内部統制対応
順を追って説明します。
セキュリティ強化 | 紛失・情報漏洩リスクの低減
書面契約の場合、紙媒体をファイリングのうえ施錠管理することが一般的ですが、アナログゆえの情報漏洩リスクや、そもそも施錠管理が機能していないこともあるでしょう。また、自然災害や火災で、書面の契約書が消失するリスクもあります。
電子契約であれば、アクセス権限等の設定により、強固なセキュリティが講じられているため、改ざんや紛失リスクを低減させることができます。また、自然災害や火災が起きたとしても、契約書の消失リスクがなく、BCP体制を構築することが可能です。
社内承認フローの可視化 | 内部統制対応
書面契約の場合、押印管理がアナログであることから、なりすましによる押印リスクが生じることも否定できません。押印者が不在の場合、代理人が押印した場合の管理も煩雑になることもあるでしょう。
電子契約の場合は、どのようなルートで決裁されたかの承認フローが可視化できるほか、押印者がウェブ上で押印することから、物理的ななりすましなどを防ぐこともできます。
上場会社は、内部統制上、承認フローの可視化は必須であり、電子契約は、内部統制強化に有効なツールになります。
まとめ
本記事では、電子契約に対する不安を解消してメリットの高い電子契約を検討できるよう、電子契約の3大メリットである「印紙税・事務コスト」「削減業務効率化」「内部統制強化」を徹底解説しました。
電子契約には、こうした効率面、コスト面、セキュリティ面の各々に大きなメリットがあるツールで、デジタル化推進に欠かせないものになっていくでしょう。
本記事を参考に、電子契約のメリットを十分に理解し、デジタル化推進に向けて電子文書管理を加速化しましょう。
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(※参考)NRMレコードマネジメントグループ:「電子文書管理ソリューション | NRM 日本レコードマネジメント株式会社」