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BCP(事業継続計画)とは?知るべき災害対策と情報資産管理の重要性

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2022/09/05
BCP(事業継続計画)とは?知るべき災害対策と情報資産管理の重要性

地震などの自然災害が生じた際に、被害を最小限に抑えて、事業の復旧をするために不可欠なBCP。
急速なITの進展により、BCPの策定において、情報資産管理の重要性がますます高まっています。
本記事では、BCPの概要や災害におけるBCP策定の必要性のほか、ガイドラインや企業取り組み事例、情報資産管理の重要性を解説します。


BCPとは?

災害など不測の事態に備えるために、組織・企業で不可欠なBCP。ここでは、BCPについて次のとおり解説します。

  • BCPとは
  • 災害対策とBCP


順を追って説明します。

BCPとは

BCP(Business Continuity Planning)とは、災害など、不測の事態が生じた際、事業を継続・復旧に向けた組織・企業の「事業継続計画」を指します。事業継続計画は、「平時の備え」と「緊急時の計画」を策定するものです。
BCPの目的は、災害などの不測の事態に備え、損害を最小限に抑えるとともに、重要業務の早期復旧を目的とした事業を継続させるための計画です。緊急事態の際、迅速な意思決定と対応を行えるようBCPを策定します。

災害対策とBCP

災害対策に不可欠なBCP。災害時において、ひとつの企業の製品・サービスの供給停止があった場合でも、社会全体に大きな影響を与えるリスクがあります。経済の高度化により、このようなリスクが顕在化するなか、とくに、2011年の東日本大震災をきっかけに、災害対策におけるBCPの重要性は、ますます高まっています。企業は、災害で被害を受けても、取引先等のサプライチェーン全体で、自社が提供する製品・サービスの供給が中断しない、あるいは中断しても早期に復旧することが望まれています。自社が存続していくことはもちろん、この社会要請に応えるためにも、災害対策としてBCPの策定は必要不可欠です。

災害対策のBCP策定で知るべき被害想定

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災害対策のBCPで真っ先に把握すべき被害想定。国や地方公共団体で、各種被害想定を策定して公表していますが、この被害想定を知り、計画を策定することが必要です。ここでは、災害の被害想定について、次を解説していきます。

  • 国での災害被害想定
  • 地方公共団体(都道府県)での災害被害想定


順を追って解説します。

国での被害想定

内閣府では、国での被害想定として、「地震」と「大規模水害」について、被害想定を次のとおり公表しています。

地震の被害想定

国の被害想定は、首都圏直下地震や東海地震など、発生リスクが高いとされる主な地震の被害想定を策定しています。被害想定は、科学的な知見に基づき、起こりうる被害像を具体的に明らかにして、実効性ある方策を策定するために作成されています。主に、震度分布や液状化、建物や人的被害のほか、交通インフラやライフラインの影響、生活への影響などの項目が対象です。そのほか、経済被害やシチュエーション別のリスクシナリオ、複合災害なども想定されています。

内閣府の防災ページでは、国での被害想定として、次の項目をあげています。

  • 首都直下地震の被害想定
  • 東海地震の被害想定
  • 東南海・南海地震の被害想定
  • 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の被害想定
  • 表層地盤のゆれやすさ全国MAP

大規模水害の被害想定

大規模水害時の浸水想定として、「大規模水害時の浸水想定等」を次のとおり公表しています。

利根川の洪水氾濫時の被害想定を策定しており、「浸水継続時間」「死者数」「孤立者数」の想定を策定しています。洪水氾濫時は、排水施設の稼働状況によって影響が大きく変わるため、稼働状況別に浸水状況を定めているのです。避難状況や救助状況によって死者数も大きく変わるため、地域毎の避難・救助状況別の死者数などが算定されています。この被害想定でまとめられているように、被災者の避難状況の割合が高くなるほど、死者数や孤立者数が大きく減少します。

(※参考)内閣府:「国での被害想定

また、国土交通省では、「防災ポータル」のサイトで、地震・津波のほか、風水害、火山災害、雪害など、起こりうる自然災害の被害想定やハザードマップを公開しています。被害想定として、地震・津波や洪水氾濫時の水害以外を想定する場合に、ご参考にしてください。

(※参考)国土交通省:防災ポータル日頃から知ってほしい情報[被害想定]

地方公共団体(都道府県)での災害被害想定

内閣府の防災情報のページでは、各地方公共団体の地方防災計画ページにリンクが貼られています。

各ページは、各地域に想定されている地震の防災計画が公表されており、津波が想定されている地域は津波の被害想定や計画も掲載されています。具体的に、地域毎の被害想定を策定する際にご参考にしてください。

(※参考)内閣府:地方公共団体(都道府県)での被害想定

参考にしたい、事業者継続ガイドラインや企業の取り組み事例

各種被害想定から、自社に大きな影響をもたらす災害を選定し、策定すべきBCP。しかし、被害想定を把握しても、被害を最小限にする手段や早期復旧に向けた計画を独自に策定することは困難です。ここでは、BCP策定で参考にしたい事業継続ガイドラインについて、次のとおり解説します。

事業継続ガイドラインとは

事業継続ガイドラインとは、防災力向上を目的に、内閣府が策定した、事業継続を目的とした組織・企業向けのガイドラインです。過去の災害などを教訓に、現行の防災環境に応じたBCPが策定されています。事業継続ガイドラインに基づくBCPの策定ステップは、次のとおりです。

  • ステップ1:方針の策定
  • ステップ2:分析・検討
  • ステップ3:事業継続戦略・対策の検討と決定
  • ステップ4:計画の策定

自社の経営方針・戦略の下、災害発生時に、自社の果たすべき責任や重要な事項に対処するため、事業継続に関する方針を策定します。分析にあたっては、自社の事業所における被害想定に応じた事業影響度を分析し、社会インフラや事業継続のためのリスク評価を行います。分析の結果、ステークホルダーからの要求・要請を踏まえた復旧時間・レベルの達成に応えるため、事業継続戦略と実現のための対策を検討し、決定します。

ここまで決定した方針・対策を下に、初動対応や事業継続対応の計画を具現化し、BCPを策定するのです。なお、中小企業は、経営基盤が脆弱であるがゆえ、BCPが策定されていないことが起因して、災害発生時に事業継続が困難になるリスクが高いといえます。

中小企業庁では、中小企業においてもBCPが策定しやすいように、「中小企業BCP策定運用指針」を公開していますので、必要に応じてご参考にしてください。

(※参考)中小企業庁:中小企業BCP策定運用指針

企業事例・東日本大震災の対応とBCP策定事例(株式会社藤崎)

同社は、創業200年近い歴史を誇る仙台発祥の老舗百貨店。
東日本大震災では、BCPは策定されていなかったものの、被災時の適切な顧客避難誘導と速やかな事業継続対応で、約10日後には営業を全面再開させています。建物の損壊が生じたなか、被災翌日には路上販売で事業を継続させた傍ら、被災の翌々日から突貫工事を行うように復旧対応も迅速に行いました。被災時の適切な避難誘導をできた要因には、平時の避難訓練の対応や、過去に経験した地震対応から、必要性が伝承されていたことがあげられます。

しかし、同社における東日本大震災の反省点として、帰宅困難者への対応判断を事前に決めておく必要があったことがあげられています。この反省点から同社は、次のことを組み込んで、BCPを新たに策定しています。

【BCPに組み込んだこと】

  • 社内に帰宅困難者を受け入れる体制整備
  • 徒歩で帰宅する者に対する備え
  • 徒歩で帰宅する者の帰宅ルートの検討
  • 従業員の避難先設定の義務化

同社は、過去の経験則や日頃の防災対応から、東日本大震災時に建物が損壊したにも拘らず、一人の犠牲者を出さすことなく、適切な対応を実施しています。緊急事態対応に適切な対応をするとともに、迅速な事業継続や復旧対応を実現した上で、反省点を踏まえたBCPを策定しています。

この事例は、中小企業庁の「BCP等の取組事例集」に掲載されています。ほかの有益な企業事例も掲載されていますので、ぜひ、ご参考にしてください。

(※参考)中小企業庁:BCP 等の取組事例集

災害対策と情報資産管理

ここまで、災害対策における被害想定やBCP策定の必要性について解説してきました。
事業継続には、BCPの策定が不可欠ですが、その前提として、災害対策を踏まえた情報資産管理体制を整えることが必須となります。ここでは、災害対策と情報資産管理について、次を説明します。

  • 災害対策にも重要な情報資産管理
  • 事業継続に不可欠な情報資産のBCP対策

順を追って解説します。


災害対策にも重要な情報資産管理

災害が起きた際、データのバックアップや保存先の二重化などがなされていないと、事業継続が困難となるリスクが極めて高くなります。特に近年は、ICT革新的な進展によりデータへの依存性が高まるなど、情報資産管理がより重要性を増しています。

阪神淡路大震災や東日本大震災では、多くの企業で記録情報が消失し、事業継続ができなくなったケースも見られています。とくに、紙で記録されていた情報は、災害で消失するリスクが極めて高いでしょう。こうした記録情報を電子化し、情報資産管理を行うことが極めて重要です。

事業継続に不可欠な情報資産のBCP対策

事業継続の観点では、単に記録情報を電子化するだけでは足りません。

データのバックアップの保存先を二重化するなどデータの保全性を確保するほか、どこからでもアクセスできるクラウド環境の構築など、データの可用性も求められます。クラウド環境を構築することにより、「災害で自社の事業所が被災している」「パンデミックで通勤できないといった環境」といった場合でも、自宅やサテライトオフィスの環境で、一定の事業継続が可能となります。

こうした情報管理のBCPを整えておくことで、自社の事業継続をスムーズに実現することができます。
NRMレコードマネジメントグループでは、災害対策として事業継続を実現するため、「いつでも、誰でも、直ぐにデータを取り出せる仕組み」を構築することを目的に、業務継続・スマートワーク支援サービスを展開しています。

BCPを策定するために、情報資産管理体制を整えたい方は、ぜひ、下記をご参考にしてください。

(※参考)日本レコードマネジメント株式会社:業務継続・スマートワーク支援サービス

まとめ

本記事では、BCPの概要や災害におけるBCP策定の必要性のほか、ガイドラインや企業取り組み事例、情報資産管理の重要性を解説しました。

BCPは、災害が起きた際に、企業・組織が事業継続や迅速な復旧をするために不可欠です。加えて、BCPの策定には、前提として、情報資産管理体制を整えておくことが極めて重要です。

情報資産管理体制を整えておくことにより、消失しないようデータの保全性を確保するとともに、「いつでも、誰でも、直ぐにデータを取り出せる仕組み」を整え、事業継続環境を整えましょう。