情報資産管理の今後は?
ICTによる技術革新が加速する現代社会において、電子化された情報資産を管理し、経営活動に活かす取り組みは必要不可欠なものになっています。最近では、デジタル化の進展に伴い、企業においても紙文書から電子文書での管理に移行してきています。情報資産管理の導入は、情報資産を厳正に管理するだけでなく、膨大なデータを分析し、有効活用することにより経営の意思決定に活かすことも可能となります。そのためには、デジタルシフトが必須事項です。
この記事では、デジタルシフトによる情報資産管理とはどのようなものなのか、情報資産管理の今後についても解説していきます。
情報資産管理はデジタルシフトが必須
人、金、物、情報は企業が保有する重要な経営資源です。この中でも情報はICTの普及によりとくに重要視されるようになったもので、企業の成長戦略に必要不可欠なものになりました。従業員の人事情報や顧客情報、社内資料、開発ソースコードや図面などは、企業が保有する情報資産の一例です。これらをデジタル化する取り組みは情報資産を適切に管理するという観点から見ると、必須事項です。デジタルシフトとは、デジタル技術を応用して便利にしていくという意味をもちます。はじめに、情報資産管理が電子化への移行を必須とする理由について解説していきます。
将来的な資産価値を生み出す
企業や組織は日々、膨大な量の情報や文書が蓄積されていきます。企業が保有する情報資産とは企業の財務情報や契約書、開発中のサービスや商品に対する社内資料だけと思っている方も多いと思います。たとえば顧客との何気ない会話や対応内容、取引先企業との間で発生した請求書1枚でも、蓄積されていけばいつの日か新たな資産価値を生み出す可能性は0ではありません。
紙文書の場合、請求書や契約書、顧客とのやり取りログや毎日配布される社内資料などを、すべて保管するのは現実的でありません。保存する場所を確保するだけでも大変ですし、顧客とのやり取りログを仕事に活かそうと思っても紙文書だと探すのに手間がかかります。企業へ新たな資産価値を生み出すかもしれない貴重な情報資産も、紙文書だと活かせないのです。しかし電子文書であれば、話は違います。
- 検索機能の導入で文書を見つけやすくなる
- ネット環境さえあればどこにいても資料を閲覧できる
- 膨大な量になってもスペースを使わない
電子化された文書であれば紙文書では見つけられなかった情報資産の価値を見出せる可能性も出てきます。
セキュリティ対策
情報資産管理をデジタルシフトすることで、情報セキュリティ対策を強化できます。従来の紙文書の場合、盗難被害や文書を放置したまま忘れてしまう、取り違いや誤って破棄してしまったなどのミスで、情報漏洩や誤廃棄などがありました。デジタル化することでこれらは防げますが、変わりにサイバー攻撃などによる悪意ある第三者からの被害を防がなければいけません。
- 従業員の運用ルールを明確にする
- パスワードやアクセス権限を設定
- 専門業者へセキュリティを依頼する
社外秘の情報資産が保存されているUSBを社外へ忘れてしまう、または紛失してしまったという人的ミスを防ぐために、従業員の運用ルールを明確にしておくことをオススメします。デジタルシフトして適切な情報資産管理に取り組めば、紙文書よりも厳重なセキュリティ対策を講じられるようになります。たとえば、万が一の自然災害などにもデジタルシフトで被害を最小限に抑えられますし、経年変化による紙面の劣化などもないので管理も楽です。
企業の内部情報が漏洩してしまうと、損害賠償請求リスクや社会的信用の低下を招きます。長期的な顧客離れに直結することも容易に想像できますので、外部へ流出してはいけない情報資産は必ず適切なセキュリティ対策を行いましょう。
デジタルシフトと情報ガバナンス
情報ガバナンスとは、情報資産を活用する体制とプロセスを構築することです。前述したようにデジタルシフトした情報資産は検索性を上げることで業務効率を高め、さまざまなリスクに対して対応できるようにします。情報資産管理を実施するための体制を整える枠組み作りが、情報ガバナンスです。ICTの進化や発展、環境の拡大や変化は目まぐるしく変わっていきます。その変化に対応し、管理するための情報体制を整えることは企業にとって必要不可欠な概念です。
情報ガバナンスを構築する大きな目的は、情報資産の作成から廃棄までを統制することです。一般的に企業がもつ文書は、以下のライフサイクルで進行します。
- 作成/入手
- 活用(伝達/処理)
- 保管
- 保存
- 廃棄
文書の作成から廃棄までを一元管理できれば、情報資産の価値に応じた管理や活用、廃棄を行えるため、業務効率が向上します。電子化された文書は、紙文書よりも情報ガナバンスを構築しやすく、企業へ大きなメリットをもたらしてくれます。情報ガナバンスの構築を成功させるためには、組織全体でコミットするというのはもちろん、業務プロセスの遵守と情報資産の価値の見極めが重要です。
ビッグデータの活用(ビッグデータマネジメント)
明確な定義があるわけではありませんが、一般的にビッグデータとは従来のデータベース管理システムでは記録、保管、解析が難しかった巨大なデータ群とされています。簡単に説明すると『さまざまな種類のデータ』を指します。ネットワークの高度化に伴い、データ収集しても記録、保管、解析が難しかった膨大なデータを分析できるようになり、これまでは無意味だった情報資産を活用して新しい資産価値へと変貌を遂げられるようになりました。
要するに、電子化された膨大なビッグデータを情報資産管理により適切に活用すれば、企業の売上アップや業務効率向上などに役立つかもしれないのです。ビッグデータの活用で得られる可能性がある価値は、主に以下の通りです。
- 未知の事案に対する高精度な予測
- 余剰や不足を予測して解消
- 余分なコストを計上して業務フローを最適化
- 新しいビジネスの仮説を発掘
テクノロジーの進化により、今までは記録や保存が難しかった量のデータを管理できるようになり、処理できる時代になりました。それにより、企業活動を日々続けているうちに蓄積していく情報資産を処理、活用できるようになったので、今後はビッグデータを活用して新たなビジネスを創出できる可能性が広がりました。
高精度な未来の予測
ビッグデータを活用すれば、高精度な未来の予測が可能です。たとえば小売店であれば、購買者の年齢、性別、購入商品のデータをすべて保存しておき分析すれば、消費者が望んでいる商品の全体像が見えてきます。消費者の好みを明確に分析できれば、より的確なプロモーションを行えます。城ケ崎温泉ではスマホを財布の代わりに使えるシステムを導入し、観光客が何時頃に何を購入する傾向にあるのかを分析しました。ビッグデータを活用することでユーザーニーズを見極め、売上の最適化を図る取り組みは多くの店舗で実施されていますが、城ケ崎温泉のように未来の観光客が何を求めて来店するかを高精度で予測できるのも、膨大な情報資産を保有しているからできることです。
高精度な未来予測を実現できるビッグデータの活用は、企業活動において必要不可欠な取り組みでになると言えるでしょう。
余剰や不足を解消してコスト削減
ビッグデータの活用は、コスト削減にも大きな効果を発揮します。外食チェーン店のスシローは、すべての寿司皿にICタグを設置しています。このICタグにより、どのお寿司がどの時間帯にどれ位食べられるかというデータを毎年10億件以上収集し、情報資産として蓄積することで余分なお寿司をレーンに流さない仕組みを構築しました。ビッグデータを活用することで顧客ニーズを掴み、必要最低限の労力で売り上げの最大化を図れるのも、膨大な情報資産を蓄積しているからこそできることです。
まとめ
情報資産管理の今後について解説してきましたが、参考になりましたか?
テクノロジーの発達により、これまでは保存しても価値を見出せなかった情報資産が活用できるようになり、ビッグデータの重要性は年々上昇しています。ビッグデータを活用して企業活動するためには、情報資産管理をデジタルシフトすることが必要不可欠であり、新たな価値を創出する必須事項です。
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