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静止画像ファイルの種類について詳しく解説します!

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2025/02/18
静止画像ファイルの種類について詳しく解説します!
近年、働き方改革やペーパレス化が進み、電子文書管理を導入している企業が増加しています。そのため、管理できるファイルについて具体的に理解しておく必要があります。


今回は、電子文書として管理されるファイルの中から「静止画像ファイル」の種類や形式、特徴について詳しく解説していきます。



静止画像ファイルとは

静止画像ファイルとは、写真やイラストなどの静止画像をデジタルデータとしてファイル化したものです。静止画像ファイルには、コンピューターやデジタルカメラなどで一から作成したボーンデジタル(born digital=生まれながらのデジタル)だけでなく、紙文書をスキャナなどで読み込み画像情報として電子化したものも含まれます。

静止画像には、画像データの表現方法や圧縮方式の違いで複数のファイル形式があるので、電子化する際に用途や目的に応じて適切なファイル形式を選択する必要があります。

静止画像の種類

静止画像は大きく分けて、「ラスター形式」と「ベクター形式」の2種類があります。

a.ラスター形式(ビットマップ形式)

画像を点の集合として表す形式です。一つひとつの点の色を変化させて多数の色を正確に表現できるため、写真などの緻密なデータに適しています。画像を拡大すると、画像の大きさに対して点の数が少なくなるので輪郭がガタガタと粗くなり、縮小すると画像が潰れることがあるため、画像の拡大や縮小などの変形には適しません。作成や編集にはペイントソフトとして分類される多くのアプリケーションが対応しています。

画質は解像度に大きく依存し、解像度を上げれば上げるほどファイルサイズが大きくなります。ラスター形式は無圧縮ではかなり巨大なデータになるので、保存する場合やネットワークで受け渡す場合、画像を圧縮しデータ量を削減します。画像圧縮した代表的なファイル形式にはJPEGやGIFなどがあります。

b.ベクター形式

画像の情報(線の位置、長さ、太さ、角度、色など)をもとに、計算によって画像を数値化して表現する方式です。画像を拡大、縮小、変形してもその都度計算が行われて値が算出されるため、画質が殆ど劣化することはありません。従って、輪郭や色がはっきりとしたイラストや図面を作成する場合に適しています。写真や自然画のような複雑で緻密な画像から線や面を抽出して数値化しなければならないものは向きません。

作成や編集にはドロー系ソフトとして分類されるAdobe IllustratorやCADソフトなどを使用します。ラスター形式に比べて算出する起点の色や位置情報があればよいのでファイルサイズが小さいのが特徴です。代表的なファイル形式には、WMFやSVGなどがあります。

比較項目 ラスター形式 ベクター形式
拡大縮小 拡大すると荒れる 拡大しても劣化なし
DTP(印刷関連) 適さない 適している
ファイルサイズ 大きい 小さい
カラー 繊細な色も綺麗に表現 写真のような色表現はできない
相互変換 ベクターに変更不可 ラスタに変換可能
保存形式 JPEG、GIFなど WMF、SVGなど

解像度(ラスター形式)

ラスター形式の静止画像の場合、「見読性」を確保するために画質に注意を払う必要があります。画質を決める要素は「解像度」と次で解説する「階調数」です。

ラスター形式では画像を点の集合として表しますが、その点の一つひとつを1ドットまたは1ピクセルと呼びます。解像度とは、同じ面積もしくは長さ当たりのドットの数の大小を表したもので、通常dpi(dots per inch)という単位が使われます。
つまり、1インチの中にいくつのドットが入るか、すなわち画像の「密度」のことで、この密度が高いほど精細な画像となります。

しかし、画質が滑らかだからといって解像度を高くすると、解像度の2乗に比例してファイルサイズが大きくなるので、必要以上に高い解像度での保存は、運用コストの増大や利用時の障害を招きます。利用目的に応じて適切な解像度を選択します。

解像度比較イメージ画像

階調(ラスター形式)

「階調」とは、色の濃淡の変化または濃淡変化の滑らかさのことです。英語に訳すると「グラデーション」(gradation)となり、コンピューターで色を表現する際の細かさを表す尺度として用いられます。
例えば、2階調で表現された画像は白と黒の2段階しか濃淡がなく、モノクロとなります。白黒の16階調となれば、白と黒の間に14段階の明るさの灰色を使えることになります。つまり、段階を多く取ることで、白と黒の2色でも滑らかな色の変化を持った表現力豊かな画像を構成することができるのです。

白黒16階調

一般的に、パソコンのカラーディスプレイは、表示を光の三原色である赤(R)緑(G)青(B)の色空間で扱っており、それぞれが何階調ずつ表現できるかで色数が変わってきます。
例えば、RGBの色がそれぞれ2階調ずつあれば、表現可能な色の組み合わせは2の3乗、すなわち8色となります。

パソコンで扱う最高の階調はRGBの各色256階調が一般的で、この場合に表示できる色数は256の3乗で1677万7216色となり、現在では便宜的にフルカラーと呼んでいます。

階調比較イメージ画像

静止画像のファイル形式

静止画像のファイル形式は、表現方法や圧縮方式などの違いで複数の種類があるので、用途に合わせて方式を選択します。

WindowsではBMP形式が、Mac OS XではPDFが標準の画像ファイル形式となっており、それらは各OSに標準で添付されているアプリケーションで編集できます。

画像形式の中でもJPEGやGIFなどは、特定のOSに依存しない汎用的な画像圧縮形式なのでインターネットや電子メールで添付する際のファイル形式として使われています。色数が特に多く連続した階調を持つ自然画や写真の圧縮にはJPEGが、使用している色が少ないイラストなどではGIFが適しています。

また、スキャナで紙文書を電子化する場合は、TIFF、JPEG、PDFのいずれかのファイル形式に変換するのが一般的です。以下に主な画像ファイル形式について説明します。

a.JPEG

特徴

通常、デジタルカメラの撮影時に保存される形式で、最も一般的な静止画像形式です。複数のJPEG画像を順番に表示させ、動画ファイル「Motion JPEG」を作成することも可能で、デジタルカメラの動画機能に利用されています。フルカラー(1670万色)に対応しています。

用途

多くの色数を必要とする写真や、グラデーションのように色調が連続して変化する画像に適しています。しかし、アイコンやアニメ調の平坦なイラストなどをJPEGで保存すると、滲んだように見難くなります。

圧縮方式

非可逆圧縮方式が一般的で、JPEG形式は他の形式に比べても高い圧縮率を実現できますが、無圧縮に戻したとき完全に元通りにならず情報の欠落がおこります。保存する際に圧縮率を指定することができます。

b.GIF

特徴

色数は最大256色です。このうち1色を透明色にすることができます。複数の画像を順番に表示させて動きを付けた「アニメーションGIF」を作成することもできます。

用途

色数が限られているため、ロゴ、リンクボタン、アイコン、アニメ調のイラストなど、 特に単色ベタ面を多く含む平坦な画像などに向いており、インターネットで広く普及しています。企業のバナー広告などの多くがアニメーションGIFを利用しています。しかし、写真やスケッチなどの多くの色数を必要とする画像には適しません。

圧縮方式

可逆圧縮方式であるLZWという方式を採用しています。無圧縮に戻したとき完全に元通りになり、情報の欠落は一切ありません。

c.PNG

特徴

PNG形式はGIFやJPEG形式に代わってウェブで広く利用されることを目指して開発された画像形式でW3C(W3C=World Wide Web Consortium(WWWで利用される技術の標準化をすすめる国際的な非営利団体))の推奨規格になっています。フルカラーにも8bitカラー(256色)にも対応し、画像中の全ての画素に対して透明色を指定することができるので、何色でも透明化が可能です。

用途

テキストやイラスト、ロゴなど色の境界がはっきりしたイメージに適しています。また、加工を繰り返す画像はJPEGだと劣化が進んでしまうため、可逆圧縮方式のPNGでの保存が望ましいといえます。

圧縮方式

可逆圧縮でフルカラーの画質を劣化なしで保存可能です。非可逆圧縮のJPEG形式と同程度の画質を得ようとすると、JPEG形式の倍程度のファイルサイズになります。

d.TIFF

特徴

Microsoft社とAldus社(1994年にAdobe Systems社が買収)などによって開発された画像形式で、OSや機種にとらわれない汎用性を持ち、最も互換性がある形式です。フルカラー印刷で使うインクの色に合わせたCMYKモードをサポートしています。

用途

DTPでよく利用される他、スキャニングした図面などや画像の保存ファイル形式として使われます。

圧縮方式

基本的には無圧縮なので画像の劣化もありませんが、ファイルサイズが大きくなります。

e.BMP

特徴

Windowsが標準的でサポートしている画像形式です。色数は、2色、16色、256色、フルカラーの4種類を指定することができます。

圧縮方式

基本的に無圧縮で保存するため画像の劣化もありませんが、ファイルサイズはかなり大きくなります。

f.PICT

特徴

Mac OS で長らく標準として用いられていた画像ファイル形式です。Mac OS用のグラフィックスソフトの殆どが対応しています。ベクトルデータとビットマップデータの両方を格納することができ、フルカラー画像にも対応しています。

Mac OS Xになってからは画像ファイル形式の標準としてPDFを採用しています。

圧縮方式

可逆圧縮方式で、単一色の範囲が大きい画像の圧縮に特に効果的です。

電子化文書

電子化文書とは、紙文書をスキャナなどで読み込み、コンピューターで扱えるデータに変換した文書のことをいいます。紙の文書を電子化することにより、電子データと一元管理できるようになります。

文書をスキャニングする際、内容や用途に応じてカラーかモノクロ(2値またはグレー)かを決定しますが、原則は、カラー文書はカラーでモノクロ文書はモノクロで電子化します。一般的に電子化した場合、文字は2値よりグレー(多値)の方が再現性は優れています。またカラーはRGB各色256階調(8ビット/ピクセル)あれば、紙面の情報は十分に再現されます。

e-文書法制定以来、紙による保存を義務付けられていた書類の電子化が進んでいます。e-文書法に適合するために、文書の重要性や、改ざん・漏えいなどが発生した場合の影響の大きさなどを勘案して、各府省令で具体的な読み取り要件を定めています。以下の図表にe-文書法に適合するための各省令の定める読み取り要件を記載します。

省令 財務省の省令 経済産業省の省令 厚生労働省の省令
対象 契約書、領収書、請求書、注文書、見積書など 定款、業務規程、会員名簿、議事録、業務関係など 診療録や調剤録など、厚生労働省の定める書類
解像度 200dpi以上 150dpi以上 診療等の用途に差し支えない精度
カラー RGB 各色256 階調以上、もしくはグレースケール カラー/グレースケール なし
補足 「可視性を確保」、「真実性を確保」、「税務署長の事前確認制度」の要件を定義 基本的な要件として、「見読性」、「完全性」、「機密性」、「検索性」を定義
対象となる文書の内容や事故が起きた時などに及ぼす影響の範囲などに応じて、「見読性の確保だけが求められるレベル」から「4つの要件すべてが必要となるレベル」までがある
 

まとめ

本記事では、電子文書の1つ「静止画像ファイル」の種類や形式について詳しく説明しました。
日本レコードマネジメントでは、電子文書管理の専門知識と豊富な経験を活かし、お客様のニーズに合った電子文書管理の体制を構築、提供いたします。お気軽にお問い合わせください。