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電子文書とは?電子文書の法的概念について

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2025/01/20
電子文書とは?電子文書の法的概念について

電子文書は紙文書に比べると比較的新しい情報媒体のため、その法的な取り扱いにも情報技術の発展や環境の変化に伴う変遷がうかがえます。

文書の法的な定義は、1978年(昭和53年)の大阪高裁判例の「文書とは、文字その他の記号を使用して人間の思想、判断、認識、感情等の思想的意味を可視的状態に表示した有形物をいう」が有名です。電子文書の法的な定義と関連する法律について解説します。

電子文書の法的概念

電子文書の法的な定義としては、1987年(昭和62年)の刑法改正で取り入れられた「電磁的記録」という概念があります。これによると「この法律において電磁的記録とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。」(第7条の2)と規定されています。
民事訴訟法において電子文書は、「図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないものについて準用する」(第231条)と規定されている、いわゆる準文書としての取り扱いがなされています。準文書とは、文書ではないが文書に準ずる、すなわち文書と同等に扱うということを意味するので、電子文書にも法的な証拠能力があります。

このように個々の法律によって電子文書についての表現、取り扱いは多少相違がありますが、最近この「電磁的記録」という概念が比較的幅広く取り入れられる傾向があります。
例えば、1999年に制定された国の情報公開法では行政文書の定義を「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。」(第2条2項)と規定し、紙文書だけでなく、図画(「トガ」と読む。図面や写真やマイクロフィルムのこと)や「電磁的記録」が行政文書に含まれることを明らかにしています。
ここでの「電磁的記録」には、刑法の規定にあった「電子計算機による情報処理の用に供されるもの」という限定は付けられていませんので、録音テープやビデオテープが含まれることを意味します。また「電磁的記録」には、記録媒体による例外を設けないという考え方が採用されていますので、電子メールをはじめ、スキャナなどの画像読み取り装置で電子化された文書など、電子媒体に記録されたもの全てが行政文書に含まれることになります。これは「文書・記録は、媒体の種類を問わない」というISO15489の考え方にも沿っています。
その後、2009年に制定された公文書管理法では、情報公開法における「行政文書」の定義がそのまま踏襲されています。情報公開法や公文書管理法では、民事訴訟法のように電磁的記録を準文書とはしていませんので、電子文書が文書に含まれることはより明確になりました。

広がりつつある「電磁的記録」

電磁的記録のイメージ図

電子帳簿保存方法とe-文書法

我が国における、電子文書に関する法律として、1998年に施行された電子帳簿保存法(通称「電帳法」)と、2005年に施行されたe-文書法(通称「電子文書法」)があります。 電子帳簿保存法は、税務関係の書類について電子保存を認めるもので、正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。

e-文書法は、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の二つを総称したものです。

電子化要件を定める対象文書は、法人税法、商法、証券取引法などで書面(紙)による原本保存が義務付けられている文書で、企業経営に関わるほぼすべての文書が該当しますが、その要件は府省により異なります。

電子帳簿保存法とe-文書法は対象とする文書の範囲が異なります。電子帳簿保存法は国税庁が管轄する国税関係帳簿書類が対象であるのに対し、e-文書法は法定保存文書全般を対象とし、e-文書法の方が幅広い法律をカバーしています。

まとめ

この記事では、電子文書の法的な定義と、電子帳簿保存方法・e-文書法を詳しく解説しました。 文書の電子化によって、業務を大幅に効率化することが可能になるでしょう。しかし、ただデータ化するだけではなく、様々な法的要件を満たすことが必要となります。 日本レコードマネジメントでは、文書管理の専門知識を持つスタッフが豊富な経験を活かし、お客様のニーズに合った専用プランで電子化のサポートをいたします。お気軽にご相談ください。

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