利用者ニーズを探り、より良い検索システムを作ろう
多くの情報の中から必要な情報を取り出すために検索システムを設計しようと考えた時、検索システムの目的や、利用者のニーズを把握し設計に反映することは不可欠です。
本記事では検索システムの設計に必要な、利用者ニーズの把握方法についてまとめました。
利用者ニーズを探る
検索システムに対する利用者ニーズを把握する方法としては、質問紙調査、インタビュー、フォーカス・グループ、ペルソナ法、クラスター分析の手法などがあります。
質問紙調査
質問紙調査とは、いわゆるアンケート調査を行う手法です。
ニーズの把握というとがまず思い浮かぶかも知れませんが、新たに検索システムを構築する場合など、基本的に選択肢を利用者に選ばせるこの方法は、作成者がニーズを理解できずに質問を作っている場合、利用者も選択肢に上がっているものを選ぶだけなので、結局、真のニーズは把握できず不向きといえます。また、自由回答を多くしたところで、質問紙調査ではインタビューのように、聞き手にニーズを引き出してもらうわけにはいかないので、多くの回答者は、自分一人では満足のいく回答を思いつくことはできません。
インタビュー
インタビューとは、想定利用者と対面で(あるいは電話を介して)直接、ニーズについて尋ねる手法です。
インタビューの手法には、あらかじめ決めておいた項目について一問一答形式で尋ねる「構造化法」、大まかな質問事項は決めつつもインタビュー対象者の回答に合わせて臨機応変に質問を変えていく「半構造化法」、事前に特に質問内容を定めず、その場に合わせて回答者の意見を引き出していく「非構造化法」などがあります。このうち構造化法は、質問紙調査と同様、回答者が一人で答えを考えなければならないため、利用者ニーズの把握には不向きです。聞き手と回答者のやり取りの中でニーズを引き出していく、半構造化法や非構造化法の方が向いています。
フォーカス・グループ
フォーカス・グループとは、複数の回答者を集めて質問する手法です。
聞き手が進行役を兼ねつつ、題目を挙げ、それぞれに意見を尋ねていきます。一対一のインタビューに比べ、回答者が他の参加者の回答に誘発されて、自分のニーズを引き出せることがあります。
インタビューやフォーカス・グループは、想定利用者のニーズを引き出せる優れた手法ですが、一定の時間やコスト(データ起こしや謝礼、交通費など)がかかるため、あまり頻繁に実施することはできません。また、所属機関の社員向けではなく一般向けの検索システムを開発する場合、想定利用者層によっては、コンタクトを取りにくいこともあります(例えば、健康問題を抱えているが病院に行くのを迷っている方などに向けた医療情報検索システムを作る場合、そもそも、誰が該当するのかその連絡先が分からない、ということがあります。また、もしわかったとしても、相手の協力を得にくいデリケートな話題でもあります)。
そこで、ペルソナ法が役に立つ場合があります。「ペルソナ」とは、マーケティングにおいて「企業が提供する製品・サービスにとって、仮想的に作り上げた理想的な顧客像」の意味で使われています。
ペルソナ法
ペルソナ法とは、想定利用者の特性を細かく定めてペルソナを作り、そのニーズを満たすような形で、サービス・商品・施策などを設計するというマーケティングの手法です。
検索システムを構築する上でも、ペルソナを設定し、そのニーズや行動に合致しているかを検討することは有益です。
近年は、ビッグデータの分析、その中でもOne to Oneマーケティング(顧客一人ひとりの趣向や属性などを基とした上で、顧客に対して最適なコミュニケーションを行うマーケティング活動)に用いる分析手法として、重要な地位を占め、よく使われる手法の1つにクラスター分析があります。
クラスター分析
クラスター分析とは、個々のデータから似ているデータ同士をグルーピングする分析手法です。
クラスター分析ではグルーピングされたデータの集まりをクラスター(集団)と表現します。情報が氾濫する中、顧客のニーズを緻密にクラスタリングすることで顧客に対して有用な情報のみを提示でき、結果として顧客満足度の向上を実現することができます。クラスター分析の手法は、あらかじめ分類の基準が決まっておらず、分類のための外的基準や評価が与えられていない「教師無しの分類法」です。したがって、男女別とか年代別とか、データを単純に分けた塊はクラスターとは呼べません。検索システムを構築する上でクラスター分析を行い、常に変化を捉えることを検討することが求められてきています。
まとめ
検索システムの設計に必要な利用者ニーズの把握方法についてまとめてみましたが、参考になりましたか?
デジタル化が加速する現代社会において、電子データ活用の動きは企業だけでなく国全体で取り組んでいる重要な施策です。目的やメリットを十分に把握し、検索機能を持った文書管理システム導入への舵取りは経営層の方が先陣を切って取り掛かる必要があります。
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