ダブリンコアを知っていますか?
「データに関するデータ」を「メタデータ」と呼びます。全文検索では大量に該当するような場合でも、検索用メタデータを利用すれば、効率よく情報を探すことができます。そんな便利なメタデータの1つである「ダブリンコア」をご存じでしょうか?
ダブリンコアとは
ダブリンコアは、メタデータ標準の一つとして情報検索のために開発され国際的に幅広く活用されています。ダブリンコアでは、DCMES(Dublin Core Metadata Element Set)と呼ばれる15の基本要素を定義しています。
要素タイプ名 | 定義とコメント |
Title(タイトル) | 情報資源に与えられた名前 |
Creator(著者・作者) | 情報資源の創造に主たる責任を持つ人や組織 |
Subject(主題) | 情報資源の主題あるいは内容を説明するキーワード |
Description(内容記述) | 情報資源の内容に関する説明や抄録 |
Publisher(公開者) | 情報資源を現在の形で利用可能にした組織、出版社など |
Contributor(寄与者) | 「著者あるいは作者」以外で情報資源の創造に寄与した人または組織 |
Date(日付) | 情報資源が作成された、または有効になった日付 |
Type(資源タイプ) | テキスト、イメージなど、情報資源の種類 |
Format(フォーマット) | 情報資源のデータ形式 |
Identifier(資源識別子) | URI、ISBNなどの当該情報資源を一意に識別するための文字列または番号 |
Source(情報源) | 情報資源を作り出す元になった別の情報資源に関する情報、出処 |
Language(言語) | 情報資源を記述するために用いられている言語 |
Relation(関係) | 他の情報資源との関係 |
Coverage(時間的・空間的) | 情報資源の地理的または時間的特性 |
Rights(権利関係) | 権利や利用条件に関する記述へのリンク |
ダブリンコア・メタデータは、汎用性の高い記述メタデータのデータ項目定義もしくはメタデータスキーマの代表です。これを制定しているのは、ダブリンコア・メタデータ・イニシアティブ(DCMI)という連合的な組織です。ダブリンコアという名称は、1995年に開催された第1回会議の開催地、米国のオハイオ州ダブリンに由来します。
ダブリンコアの進化
このDCMESは、2003年には国際標準(ISO 15836)として定められました。2005年には国内標準(JIS X 0836)としても規格化されました。
しかし、より厳密で精緻なメタデータ記述が必要となり、見直しの結果、2008年1月にDCMESの15の基本要素を含む計55個の記述要素(プロパティ)を定義したDCMIメタデータ語彙(DCMI Metadata Terms)が新たに公開されました。
国立国会図書館でも使用されているダブリンコア
国立国会図書館ではダブリンコアを基に作られた「国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述」を使用しています。
2009年7月に国立国会図書館法が改正され、国立国会図書館は、日本国内の公的機関が一般に公開しているインターネット情報について許諾を得ずに、収集・保存ができるようになりました。これに基づき、国立国会図書館は、2010年4月から「インターネット資料収集保存事業(WARP)」として、公的機関の公開するインターネット情報の網羅的な収集を開始しています。「国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述」は収集したデータにメタデータを付与し、蓄積してきたデータをウェブで公開し世界で利活用されています。
まとめ
抽象的で理解しづらいダブリンコアですが、情報検索・情報収集の分野では活躍しています。メタデータでは他に、アーカイブズ分野だとISAD(G)、EADなどが有名です。
メタデータが今後どのようになっていくか注目していきましょう。