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ファイリングシステムとISO15489の違いとは?保存期間ルールを解説!

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2025/03/04
ファイリングシステムとISO15489の違いとは?保存期間ルールを解説!

ファイリングシステムとISO15489では、それぞれの目的が異なるため、保存の考え方も異なります。
ファイリングシステムと、記録管理の国際標準ISO15489の保存期間ルールについて解説します。

ファイリングシステムとISO15489の保存期間ルール

ファイリングシステムとISO15489の保存期間管理の違い

ファイリングシステムの保存期間管理と記録管理の国際標準ISO15489の保存期間管理との間の最も大きな相違は、ファイリングシステムが「保管」「保存」「廃棄」のプロセス中心の保存期間管理であるのに対し、ISO15489は記録のライフサイクル全体を視野に入れた保存期間の管理となっている点です。

▼記録のライフサイクル
記録のライフサイクル図

ファイリングシステムは、既に作成済みの文書を必要に応じて素早く取り出せるように整理することが主目的となっているため、最初の「作成」と最後の「移管」のプロセスが抜け落ちていることが多いです。「作成」プロセスは、国や自治体における情報公開法制の進展により、文書作成の重要性がクローズアップされたため、修正されるケースも出てきましたが、保存期間満了時にアーカイブズへ「移管」するというプロセスは依然として考慮されることなく、「廃棄」一本となっています。これはファイリングシステムが紙文書中心の仕組みであったために、紙を減らす「廃棄」が最優先されたことと、そもそも歴史的に重要な文書を永久保存するアーカイブズという概念が欠落していた結果ということがいえます。

一方、ISO15489の保存期間管理は「リテンションスケジュール」とも言われますが、記録のライフサイクル全体を視野に入れている点に特色があり、「作成(受領含む)」→「保存」→「処分」(「移管」「延長」または「廃棄」)というプロセスになっています。ここで注意すべきは、保存期間満了時のプロセスが「処分」(Disposition)となっていることです。つまり記録の保存期間が満了した場合には、「移管」「延長」または「廃棄」という三つの選択肢があり、このプロセスを総称する用語が「処分」となります。ファイリングシステムでは「廃棄」のみですから「処分」に相当する用語はありません。

もう一つのISO15489の保存期間管理の特徴は、保存期間の「延長」に「義務的延長(法的保留:Legal hold という)」の概念があることです。つまり、実際の訴訟や法的措置、情報公開請求、監査・検査に関係する記録は、それらの行為の進行中または行為が生ずると予想される間はたとえ保存期間が満了したとしても、廃棄できないというルールです。ファイリングシステムには「延長」はあっても、「義務的延長」の考え方はありません。(公文書管理法には「義務的延長」が取り入れられています。)

 

ISO15489の保存期間の決め方

ISO15489の記録管理では、どれ位の期間、記録が記録システム内に保存されるべきかの決定は、法規制、業務及び説明責任の要求事項、さらにはリスクの評価に基づきます。保存期間の決定は、組織の記録管理方針及び標準、特定の業務活動に関連した記録の要求事項に従って、特定の業務活動を管理する組織の単位で、レコードマネジャー(記録管理専門職)が必要な人達を巻き込み決定する必要があります。その際、全てのステークホルダー(利害関係者)の権利と利益を考慮することが重要です。法定保存期間が最も上位の約束事になる点は、通常の保存期間の決め方と同様です。

保存期間管理のポイントは以下の通りです。

  1. 現在及び将来に意思決定と組織活動を伝えるために、それらに関する情報を組織の記憶の一部として保有する。
  2. 説明責任の義務に適合するため、過去及び現在の組織の方針及び活動に関する証拠を保有する。
  3. 将来のユーザーに記録の真正性と信頼性が判断できるようにするため記録のコンテクストを保有する。
  4. 特定の業務活動向けの記録管理に当てはまる法規制環境が確実に文書化され、理解され、実行されるよう、法的な要求事項に適合する。
  5. ステークホルダーの有する合法的な権利・利益が保護されるよう、記録を必要な期間保有する。ステークホルダーにはビジネスパートナー、顧客、監査人、監督官庁、調査機関、アーカイブ機関、調査研究員など組織の決定または活動に影響を受ける人々を含む。
  6. もはや必要とされない記録は、できるだけ早く承認された体系的な方法で削除する。


まとめ

本記事では、ファイリングシステムとISO15489の保存期間ルールについて解説しました。
日本レコードマネジメントでは、ISO15489(記録管理の国際標準)に基づいた管理システムの導入をサポートしています。情報は組織の重要な資産であり、適切な管理が求められます。お客様の情報が組織の成長の原動力となるようお力添えしますので、ぜひご相談ください。