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文書の保存期間管理はどうやって決める?保存期間の考え方を解説します

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2025/02/28
文書の保存期間管理はどうやって決める?保存期間の考え方を解説します

文書管理とは、文書の作成(取得)から、活用、再利用のための保存を経て、アーカイブズへの移管か廃棄かを選択する処分のプロセスまでのライフサイクル管理を効率的かつ効果的に行うことです。このようなライフサイクル管理を適切に行うためには、文書の保存期間が重要です。

「よくわからないからすべて永年保存にしておこう」は危険です。詳しく解説します!

保存期間管理とは

文書管理では、文書ごとに保存期間を設定し、管理する必要があります。保存期間管理は、厳密にはライフサイクル管理と同義語ではないものの、その中核をなす重要な部分です。そのため、保存期間管理は、文書分類基準とともに文書管理の2大ルールということができます。
保存期間満了後には、アーカイブズへ移管する、または処分(評価選別)のため廃棄もしくは延長を選択するプロセスを迎えることになります。
国の行政機関(独立行政法人含む)においては、公文書管理法の規定(第5条5項)により、保存期間満了前のできるだけ早い時点(多くの場合、その行政文書が作成・取得されて1年以内)に満了後の措置を定めておくことになっています。そして、このやり方を「レコードスケジュール」といいます。

保存期間ルールの考え方

保存期間の設定には、いくつかの原則があり、文書が持つ情報の価値に基づいて保存期間を設定します。基本的には、文書分類基準と同じく、組織の業務ニーズをベースに考えることが重要です。以下のような保存期間を判断する基準があります。

判断基準 内容
法務的価値 法令要求により保存義務のあるもの(法的保存期間)
訴訟対策上必要なもの
業務的価値 業務遂行の証拠として保存する必要のあるもの
現在及び将来の業務遂行のために利用する必要のあるもの
歴史的価値
(アーカイブズ)
歴史的・文化的な価値のある資料
学術研究用として価値のあるもの

コンプライアンスの観点から、法務的価値による保存期間を最優先しなければなりません。しかし、業務的価値は、基本的に、自分の組織の都合や考え方に応じて保存期間を自由に決めることができます。歴史的価値についても同様ですが、こちらはアーキビストなどの専門家による判断が、より求められる部分です。いずれのカテゴリーについても、対象となるのは原本です。原本のコピーは用済み廃棄、あるいは保存するにしても、原本より短い保存期間にします。

保存期間の決め方ですが、通常5~6通りの保存期間の類型が設定されます。
類型の数が多すぎると、煩雑になりすぎて実用的ではありません。現在の国の場合、行政文書(法人文書含む)の保存期間ルールは、1年未満、1年、3年、5年、10年、30年の6通りとなっています。企業の場合は、税務関係文書の法定保存期間が7年であることから、7年という保存期間を設けるところもあります。従来、国をはじめ多くの自治体や企業などにおいても「永年保存」という保存期間を設けることがありました。しかし、国の場合、2001年の情報公開法施行に伴い、最長30年という保存期間の原則が導入され、「永年保存」は例外的にのみ認められていましたが、2011年の公文書管理法施行以後、「永年保存」は完全に認められなくなりました。

なぜ「永年保存」が認められないかというと、「永年保存」とされた文書は何年経っても捨てられず、また移管もされないので、いつまでも現用文書のまま書庫などで保存されてしまうためです。その結果、たとえ歴史公文書等であっても、国立公文書館等へ移管されることがないので歴史公文書等として特別な管理がされず、一般の利用に供されることもありません。つまり、現用文書のまま中途半端な状態で残ってしまうことになりまう。このような弊害を避けるために、国は「永年保存」をなくし、基本的に最長30年という保存期間ルールを設定しました。つまり、30年を経過した段階で見直しを行い、移管か、廃棄か、あるいは延長かを決める方式に変更したのです。自治体や企業では未だに「永年保存」のカテゴリを設けているところが少なくありませんが、国のような考え方による保存期間ルールの改善が求められます。

保存期間管理の方法

保存期間が定められたそれぞれの文書は、同じ種類の文書が同一のファイルサプライ(バインダーまたはフォルダ)に収納されますが、そのファイル単位で保存期間管理を行うことになります。1つのファイルに収納されるのは同じ種類の文書なので、基本的に同一の保存期間となるはずです。そのため、保存期間管理はファイル単位で行うことができるのです。このような保存期間管理のことを、海外のレコードマネジメントでは、リテンションスケジュールと言います。

電子文書の場合にも、基本的な考え方は同じです。ワープロや表計算ソフトなどのアプリケーションで作成された文書ファイルやPDF形式のデータなどをフォルダに格納し、フォルダ単位で保存期間管理を行います。ただし電子文書は、紙文書に比べてスペースをあまり必要としないため、「保存期間を定めて不要なものを順次廃棄していく」という考え方が当てはまらないこともあります。電子文書の保存期間管理においては、不要なものを廃棄するということよりも、必要なもの、重要なものを確実に保存しなければならない期間を管理するという意識を強く持つことが大切です。しかし廃棄のルールがなければ、いずれストレージの容量不足を招くことになるため留意すべきです。

まとめ

本記事では、ライフサイクル管理のための保存期間管理について解説しました。
文書には適切な保存期間の設定と、保存期間後の見直しが必要になります。
日本レコードマネジメントでは、文書管理ルールを組織内で標準化・統一化することで、部署や担当者任せの文書管理の仕組みを一元化し、情報の共有化を促進するサポートを行っています。お気軽にご相談ください。