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“アーカイブズ”を詳しく解説!その目的は?

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2022/10/25
“アーカイブズ”を詳しく解説!その目的は?
文書管理に限らず、様々な分野で「アーカイブ」「アーカイブズ」という単語が使われています。
「デジタルアーカイブ」という言葉もよく耳にします。
ここでは、アーカイブズと、アーカイブズの種類について解説していきます。

アーカイブズとは何か

英語のアーカイブ(archive)は、「記録や資料などをひとまとめにして保存すること」や「そのようにしてまとめられた資料群のこと」、さらには「その保存場所や保存する機関(施設)のこと」を表します。
日本語の「アーカイブズ」は英語の「archive」の複数形のカタカナ英語です。

日本における「アーカイブズ」とは何でしょうか。それは「歴史的に重要な資料を永久的に保存し、公開する施設、あるいはそのような歴史的記録資料そのもの」を表します。アーカイブズ施設を表す日本語として公文書館、文書館、史料館、資料館などがあります。

アーカイブズで取り扱うものも幅広くあります。図書館ですと主に本を取り扱いますが、アーカイブズで取り扱うのは、文書(ぶんしょ/もんじょ)のほか、史料、資料、歴史記録、写真、音声映像記録、電子データ(データベース、ウェブサイトのHTMLデータ等)とさまざまです。

変わったものも保管されているので紹介しましょう。例えば国立公文書館には、ぬいぐるみが現在3種類保管されています。献血推進マスコット「けんけつちゃん」、総務省統計局イメージキャラクター「センサスくん」と「みらいちゃん」です。これらは行政活動に関係があるためアーカイブズとして保存されています。

歴史的資料の永久保存の意味で使う「アーカイブ」は、文書のライフサイクルにおいて、保存期間が満了し利用しなくなった現用文書、つまり非現用の段階になった文書の管理を意味します。現用段階の文書の管理である文書管理(レコードマネジメント)とは上流と下流の関係にあります。つまり、良い現用の文書管理をしてはじめて、良いアーカイブになるのです。

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ITやコンピュータの世界での「アーカイブ」は意味が異なる

ITやコンピュータの業界で使われる「アーカイブ」は、もちろん「歴史的資料の永久保存」の意味で使われることもありますが、それよりも「情報を一時的に取っておく」という意味で使われることもあります。例えば「電子メールをアーカイブする」という場合は、「情報を圧縮してサーバーに一定期間保存する」、「受信フォルダに表示されないように別のフォルダに移動する」という意味で使われたりします。

 

アーカイブズの種類

文書管理におけるアーカイブズの話に戻りたいと思います。アーカイブズは、実施する組織、収集方法により、いくつかの種類に分けることができます。それぞれ解説していきます。

1. 設置主体による区分け

官公庁アーカイブズの代表は国の国立公文書館(National Archives)ですが、地方自治体のアーカイブズである県立や市立などの公文書館が各地に存在し、文書館(ブンショカン/モンジョカン)、歴史資料館、県政資料館など、名称はさまざまです。また、国公立大学と私立大学にも優れたアーカイブズを有するところが多数あります。

※参考  国立公文書館

民間企業のアーカイブズは「ビジネス・アーカイブズ」ともいわれ、文書・記録が中心のものから、製品などのモノ資料を中心とした企業博物館的なものまで、その態様はさまざまです。ビジネス・アーカイブズを「整備されたアーカイブズは自らの姿を示すものとして組織運営の姿勢を正し、企業文化の発展に寄与するだけではなく、事業の継続性を担保し、イノベーションの源泉となる優れた経営資源」ととらえ、積極的に取り組んでいる民間企業も多くあります。

2. 収集方法による区分け

組織内アーカイブズと収集型アーカイブズに分かれます。

■組織内アーカイブズ(Institutional Archives、Inhouse Archives)

組織に所属するタイプで、母体組織から移管された記録・資料で構成されるアーカイブズです。
NRMレコードマネジメントグループでは、アーカイブズの運用サポートを行っております。

※参考  日本レコードマネジメント:空運・陸運業界事例放送・制作事例

■収集型アーカイブズ(Collecting Archives)

母体組織以外から記録・資料を収集するタイプで、特定のテーマに関する資料を様々な組織や個人から幅広く収集することを主体としたアーカイブズです。「印刷博物館」や広告とマーケティングの資料館である「アド・ミュージアム東京」などがその例です。

デジタルアーカイブとは何か?

デジタルアーカイブとは、インターネットを通じて、「いつでも、どこでも、だれでも、自由に、無料で」、公文書等の目録情報の検索、所蔵品のデジタル画像等の閲覧、印刷、ダウンロードが可能なインターネットサービスです。
さらに、デジタルアーカイブ利活用の分野横断プラットフォームである「ジャパンサーチ」が、2020年に正式版が公開されました。

ジャパンサーチは、書籍・公文書・文化財・美術・人文学・自然史/理工学・学術資産・放送番組・映画など、我が国が保有する様々な分野のコンテンツのメタデータを検索・閲覧・活用できるプラットフォームです。これは、「デジタルアーカイブジャパン推進委員会及び実務者検討委員会」(事務局:内閣府知的財産戦略推進事務局)の方針のもと、さまざまな分野の機関の連携・協力により、国立国会図書館がシステムを運用しています。今後、デジタルアーカイブがますます充実していくと思われます。

※参考  ジャパンサーチ


まとめ

アーカイブズとは何か、アーカイブズの種類について解説してきました。
文書だけでなく、さまざまなものが対象となることに、驚かれたのではないでしょうか。
アーカイブズは組織の歴史を表す目的もありますが、アーカイブズ自体が文化の発展に寄与する、事業の継続性の担保する、という目的もあるので、未来を見すえて充実したアーカイブズを作り上げていきたいものです。