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電子文書のメリット・デメリットとは

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2022/05/30
電子文書のメリット・デメリットとは
ソフトウェアで作成した電子データ、そのまま文書管理に利用できれば便利ですが、デメリットもあります。さらに、電子帳簿保存法改正が2022年1月からスタートしました。電子文書を出力した紙は保存文書として取り扱えなくなります。今後増える一方の電子文書についておさらいしましょう。

電子文書のメリットとは

電子文書のメリットは、まとめると以下のポイントになります。

  1. 保存場所をとらず保存コストが低減される
  2. ネットワークを介して離れた場所での送信、配布、共有化がしやすい
  3. 多数の送付先への文書配信が手軽
  4. 欲しい情報を、素早く検索可能
  5. 低コスト、短時間、かつ大量に複製が可能
  6. 過去の文書を容易に再利用でき、効率的な新規文書作成が可能
  7. 多彩な表示が可能となり、可読性を高めることができる
  8. 技術革新の速度が相対的に速い

電子文書のデメリットとは

一方で電子文書のデメリットは以下のポイントになります。

  1. 不正な変更、改ざんなど不正行為の痕跡が残りにくく、原本性の確保に問題がある(完全性の問題)
  2. 長期保存の場合、データの消失や互換性喪失の恐れがある(媒体そのものの保存性と、それを読むハードウェアやソフトウェアの陳腐化)
  3. 直接目にすることができず、画面に表示するか、プリントアウトしないと読めない(見読性の問題)
  4. 誤操作、システム障害などでデータ消失の危険がある
  5. 簡単に複製ができるため、個人情報など機密情報の大量漏えいの危険がある

このように電子文書には紙文書にないメリットがある代わりに、課題も多いのが現状です。特に原本性と長期保存が大きな問題といえるでしょう。電子文書を利用するにあたっては、電子文書の特性を考慮し、その利用状況に応じた適切な措置を講ずることが重要です。適切な措置を講じることで、デメリットを補うだけでなく、紙文書より優位性を持たせることも可能となります。例えば、細かい文字の拡大表示、バックアップによるデータ滅失の防止、不正行為の検出や追跡などが挙げられます。

今後、文書の電子化を進めるにあたって、電磁的記録(電子データ)による保存などにより新たに生じるリスクに配慮しつつ、効果を最大限に活かす方法を工夫することが望ましいといえるでしょう。

電子文書の課題に対してできる対策とは

「電子文書の原本性保証ガイドライン」(財団法人ニューメディア開発協会)では、「電子文書は、紙文書と比較して、改ざんが容易でその痕跡も残りにくく、また記録媒体の経年劣化などにより内容の消失などが起きやすいなどの特性を有しており、これらの保存・管理上の問題点に関して適切な対策を講じる必要があります」と記しています。また、「税務書類の電子保存に関する報告書」((社)日本経済団体連合会)では、上記の指摘に加えて「そのままでは目に見えないため、パソコンなどが必要となる。原本と全く同一のコピーが作成できる。ファイルの日付は書換え可能であり、作成時期の確定が難しい。長期保存の場合、データの消失や互換性の喪失の恐れがある。」といった課題が指摘されています。

具体的にデメリットに対し、どのような対策ができるのか見てみましょう。上記の問題点に共通する要素を基に、(1)見読性、(2)完全性、(3)機密性、(4)検索性の観点から課題を見てみましょう。

(1)見読性

電子文書はあるデータ形式で保存されるため、適切なソフトウェアの助けを借りて、画面に表示またはプリントすることで初めて内容を確認できます。従って、保存媒体が正常でも、それを読むハードウェアやソフトウェアの陳腐化のため情報が読めなくなるおそれがあります。また、データ形式は、特定企業により定義されフォーマットが公開されていないものもあり、また、企業がそのデータ形式のサポートを中止し表示できなくなることもあるので注意が必要です。この対策としては、マイグレーションや環境保存、エミュレーションなどがあります。特にスキャニングにより電子化文書を作成する場合、スキャナの設定を適切に行わないと、紙の内容の一部(または全部)が読み取れなくなってしまうことがあります。

実は問題はすでに起きています。NASAの火星探査のヴァイキング計画(1979)のデジタルデータが、データのフォーマット・読み出し方法が旧式で保存されていました。旧式のフォーマットについて知っている人が誰もいなかったため、結局読み出すことができませんでした。全体の15~20%のデータが失われ、重要部分が読み取り不能となりました。非常に残念な事例です。

(2)完全性

電子文書は修正や変更が簡単にできるのが特徴です。ISO15489では、記録が完成した後に変更されていないことを完全性といっています。完全性には、変更履歴を記録(トレーサビリティの確保)して改ざんなどを防止する措置を取ることも含まれます。この意味の完全性の対策としては、電子署名やタイムスタンプなどを付けることがあります。

また、完全性とは、完全な状態、無傷な状態をいいます。この意味の完全性を損なうものとして、経年劣化、滅失・毀損などがあります。電子文書は記録媒体または情報システムに保存されますが、CDやハードディスクなどの記録媒体は経年劣化します。媒体の毀損やシステム障害により、電子文書が滅失・毀損するおそれがあります。そのためにバックアップが必要なのです。

(3)機密性

電子文書に誰でもアクセスできてしまうと、重要な秘密が漏えいしてしまう危険性があります。そのため、権限のある人だけが、対象の電子文書にアクセスできるように制限し、情報が漏れないように管理する必要があります。アクセス制御することで、個人情報や営業秘密が、漏えい、盗聴されることを防止できます。これらの対策としてIDとパスワードによるアクセス制限やログの保存、暗号化などが必要となります。

(4)検索性

大量に蓄積された電子文書は、適切な検索システムがないと見つけ出すことが困難になります。そのため、必要に応じて情報システムで検索できるよう、事項を体系的に構成する必要があります。体系的構成とは、一定の法則に従って整理・分類されるような機能を有することをいいます。具体的には、メタデータや分類体系、用語の標準化などが重要になってきます。

まとめ

まったなしで、2022年1月から始まった電子帳簿法改正の対応が必要になりますが、みなさんの周りは対応できているでしょうか。電子文書のデメリットは、工夫すればリスクを小さくすることができます。

この記事をお読みくださった皆様にとって少しでもお役に立てればとてもうれしく思います。電子文書管理にまつわるコンサルティングをご検討されていましたら、文書管理のプロフェッショナル、日本レコードマネジメントまでお気軽にご相談ください。