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文書のライフサイクルにおける各プロセスを解説します

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2022/05/30
文書のライフサイクルにおける各プロセスを解説します
せっかく作成した文書、できれば活用できるように管理したいですよね。そのためには、「文書のライフサイクル」に沿って実施することが必要です。それぞれのプロセスを解説します。


1.作成・受領:「記録」があることが重要

日本は昔から「文書主義」の原則、仕事は文書を通じて行うという基本原則があります。最近では文書作成のプロセスの重要性が一段と高まっています。官公庁では情報公開法や公文書管理法などの文書管理の法律が整備されました。行政機関等に対し文書の開示請求ができ、意思決定に係わる文書はどのような経緯を辿って結論に至ったのか過程を明らかにできるように文書作成することが義務付けられています。

民間企業や他の組織においても文書の考え方は同じで、経営方針や重要事項に係わる意思決定及び業務遂行についての文書が作成され、記録として残っていなければ、何か問題が起こっても事後に評価や検証ができず、原因追及や再発防止策の立案もできません。もちろん、文書の作成のみならず、組織外で作成された文書の受領も同様のプロセスとして位置づけられています。

2.処理・活用:文書の活用は電子文書と紙文書が混在

現在の職場の状況は、紙文書と電子文書が混在しています。文書の作成は電子的に行われますが、その後の処理・活用の段階では紙に印刷するケースがあります。しかし、どのように紙と電子の使い分けを行うかといったルールを持つ組織はまだ多くありません。将来的には電子的に作成した文書は、紙にプリントしないでそのまま電子的に処理・活用し、電子的に保存することが理想なのですが、一度に全ての文書を電子化することはできません。

そのため、特定の文書、あるいは特定の業務から段階的に電子化を進める計画が必要です。例えば原本性確保が要求される文書は取り敢えず紙で処理・活用し、社内で共有化すべき文書は社内のネットワーク上で電子的に処理・活用するなどです。

文書管理において、処理・活用時に、紙文書のファイル化を行います。あらかじめ制定された文書管理規則の分類体系に従って文書を分類し、保存期間基準に基づいて保存期間を設定し、さらに同じ種類の文書あるいは相互に密接な関係を有する文書を1つのファイルにまとめます。

3.保存:文書をどこに保存すればよい?電子文書の保存の注意点

利用頻度の高い文書を事務室で管理し、利用頻度が低下した文書を書庫で管理します。事務室で管理することを「事務室保存」、書庫で管理することを「書庫保存」といいます。

保存のポイントは、1つは個人文書(個人ファイル)と組織文書(組織共用ファイル)を同じ場所に保存しないことです。もう1つは安全確実な環境の下で文書が保持されるよう留意することです。個人情報などの機密情報が含まれる文書(ファイル)は、紙文書ならば鍵の掛るキャビネットで保存し、盗難や不正な持ち出しを防がなくてはいけませんし、電子文書であれば、アクセス制限などの適切なセキュリティ保護のルール化が不可欠です。電子文書については、必要に応じてバックアップ措置を取ることも大事です。また、長期保存が必要な電子文書は、PDF/Aなどの長期保存フォーマットで保存する必要があります。

4.処分(移管、延長、廃棄):保存期間が終わった文書は評価し処分を

文書(ファイル)ごとに設定された保存期間が満了すれば、移管、延長、廃棄のどれかを選びます。これを評価選別といいます。保存期間が満了しても全てのファイルが廃棄されるわけではありません。

永久保存するものは、アーカイブズ(施設)へ移管します。

延長は、業務上の必要性から行うことができますが、継続保存が必要かどうかの判断は慎重に行われなければなりません。これとは逆に例外的に「保存期間を延長しなければならない」場合があります。これは海外の文書管理では法的保留(Legal hold)と呼ばれ、国内では義務的延長と呼んでいるもので、訴訟や公的な検査や監査などが差し迫っているか、進行中の場合に行います。このような場合に関連文書を廃棄すると、訴訟では訴訟妨害と取られ裁判が不利になりますし、公的な検査では検査忌避と見なされ法令違反となるため、保存期間が満了しても関連する文書を廃棄せずに延長しなくてはなりません。

廃棄は、必要なくなった文書を復元不能にするものです。具体的には紙文書ではリサイクル(再生紙)用の溶解を行います。電子媒体の場合は物理的破壊をします。こうした対応は、原本の廃棄だけでなく、コピーなどの複製物についても同様となります。

まとめ

文書ライフサイクルのプロセスを見ていくと、文書管理が単に整理整頓や文書量の削減だけでなく、文書を効率よく活用する、業務の検証ができるようになる、業務の説明責任を果たすといったメリットがあることがわかります。文書を作成するなら、文書のライフサイクル=文書管理を行うことをオススメします!

文書のライフサイクル・文書管理をご検討されていましたら、文書管理のプロフェッショナル、日本レコードマネジメントまで気軽にご相談ください。